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黒猫堂と私

黒猫堂は木版漫画や創作版画集を中心に企画する東京の小さな出版社。
私が初めてファンレターを書いたのは水木しげる(それも2回)、
二人目がこの黒猫堂の木版漫画作家、藤宮さんでした。

本の街、東京神田神保町。
初めて訪れ古本屋巡りをしていた際、
この人の本を見つけて電気が走りました。
手に取ったのは「蜜柑」という芥川龍之介原作の木版漫画。
中は確か見ないで買ったよな。
帰ってから読んで、間違いなかった!と思いました。

1ページずつ丁寧に版画で作られた漫画、ページ数は薄いけど、
ものすごく分厚い作家さんの魂がこもっているのがわかりました。
すぐに他の本もネット注文し、読み終わってお手紙を書きました。
そしたらある日お返事が来て、
「好意的なお手紙をいただき嬉しく存じます」と…。
この人ネガティブなのかな?と思いました。
でもますます応援したくなりました。
店長に言ったら店で扱わせてくれるというので連絡したらあっさりOK!!
北海道では初の取扱いとなりました。

さらに東京に行き直接お会いしてきました。
連絡はして行きましたが、携帯の番号もわからず「阿佐ヶ谷駅に○時」という約束のみ。
駅に着いてからそれらしき人をじーっと見たり、
待ち合わせっぽい人に「あのー、もしかして藤宮さんですか?」と声をかけたり。
一体どうやっておちあうんだろう?
とレトロ感たっぷりの待ち合わせにわくわくしていると
私の携帯に公衆電話から着信が…。
向こうはネット注文した時に私の電話番号を確認していた。
けっこうふつうの出会いとなりました。

それから駅の喫茶店に入り、珈琲を飲みながらいろいろとお話を聞きました。
やはりものすごいこだわりや思いのある方で、
知らない作家や単語がいっぱい、興味津々。
「猫が主役のお話が多いですが猫好きなんですか?」
「いや、特に好きじゃないけどなんとなくです。」
という漫画のような答えから、
「資金がないので自分達で製版しています。
版画は本来すごく高く売られるんだけど、漫画だから安くて。」
そんなジレンマを教えてもらいました。

黒猫堂、奥が深いぜ…と噛み締めながら北海道に戻りました。
応援したい気持ちはさらに高まりました。

大きな力にはなれないけど、
お店でお客さんに紹介したり、
知り合いの本屋さんにすすめたりして数年…
ついに単行本が刊行されることになりましたー!!!
はい、前置き長くてすみません笑。

「黒猫堂商店の一夜」
特別仕様版は完売致しました。ありがとうございます!

今まで出した短編がほぼ収録されています。
しかも特別にサイン入り、ブックカバー付き!
応援していた人の成果が出るとこんなに嬉しい気持ちになるんですね。
とってもいい本です。

版画はもちろん、猫、お月さま、星、喫茶店、昭和の雰囲気、
芥川龍之介、葉山嘉樹、稲垣足穂などの世界観が好きな方は特におすすめ!

☆取扱いを開始した当時の従業員日記「東京一文無し」(変なタイトル笑)
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Taiami
by bbc_diary | 2013-01-08 18:16 | ◇本と喫茶


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